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柱の傷と杉の香り 〜記憶の扉をたたく「背くらべ」〜

背くらべ

5月も半分が過ぎ、

風に揺れる木々の緑が

いっそう鮮やかに感じられる季節になりました。


だいぶ日は過ぎてしまいましたが、

5月といえば「こどもの日」。 


この時期になると、

私はふと「背くらべ」の歌を口ずさみたくなります。


「柱のきずは おととしの……」


この歌詞のように、私の家でも、

父が柱に私と弟の成長の記録を刻んでくれていました。


 まだ背丈の小さかった頃、

柱にピタリと背中を合わせ、

父が引く鉛筆の感触をじっと待っていたこと。


少しでも弟より高くありたくて、

こっそり背伸びをしようとして嗜められたこと。 


そんな光景とともに鮮明に思い出すのが、

当時まだ新しかった柱から漂っていた、

清々しい「木の香り」です。


当時はただ「いい匂いだな」と感じていただけでしたが、

後にアロマテラピーの世界に入り、

プロとして香りを扱うようになってから、そ

の香りの正体が「杉(シダー)」であったことを知りました。


今でも、杉の精油の蓋を開け、

そのウッディで落ち着いた香りを吸い込むと、

一瞬にして子供時代のあの柱の前に

タイムスリップしてしまいます。 


そして、あの懐かしいメロディが耳に届けば、

柱のザラリとした質感や、

父の大きな手の温もりまでが

昨日のことのように蘇ってくるのです。


香りは鼻を通り

、脳の中でも記憶や感情を司る場所にダイレクトに届きます。 


音楽もまた、私たちの心の奥底に眠っている風景を

呼び覚ます不思議な力を持っています。


ふとした瞬間に届く香りや音楽が、

遠い日の幸せな記憶を連れてきてくれる。


 改めて、香りや音楽は私たちの人生の記憶と、

深く、強く直結しているのだと感じずにはいられません。


皆さんにとって、懐かしい風景を連れてきてくれる

「思い出の香りや曲」はありますか? 


今夜はそんな記憶に思いを馳せながら、

ゆったりとした時間を過ごしていただければ幸いです。


それでは、明日からの日々が皆さまにとって

健やかなものとなりますように。 


どうぞ、よい夢を。


◆──────────────◆


エッセイでもお伝えしたように、

音と香りが重なり合った時の癒やしの力は、

私たちの想像以上に大きなものです。


実は、香りが脳の感情を司る部分に届き、

心身のスイッチを切り替えるまでにかかる時間は、

わずか「0.2秒」と言われています。


「なんだか頭が疲れているな」

「ホッと一息つきたいな」 


そんな忙しい毎日のふとした瞬間に、

この「0.2秒」の魔法を使って、

脳の疲れをふわりと手放してみませんか?


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